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永石 隆二; 本岡 隆文; 山岸 功
Proceedings of 2016 EFCOG Nuclear & Facility Safety Workshop (Internet), 6 Pages, 2016/09
多核種除去設備(ALPS)の高性能容器(HIC)中で起きた炭酸塩スラリーの液位上昇に伴うたまり水発生は、スラリー中のSr-90等からのベータ線による放射線分解に起因すると考えられるが、詳細は明らかにされておらず、その原因究明に関する実験的研究を東電、東芝、栗田工業と協力しながら段階的に進めてきた。実験では、水素が主要なガス生成物であり、海水成分のハロゲン化物イオンだけでなく凝集沈殿処理剤の炭酸イオンによってもその発生が促進されることがわかった。また、水素が溶存種から気泡に変わり高粘度のスラリーに保持されることで、スラリーの容積変化(膨張)が起こるとともに、照射下で特異に上澄み水が形成されることがわかった。
小林 師; 村田 栄一*; 澤幡 佳和*; 斎藤 晶*
JNC TN8430 2001-002, 43 Pages, 2001/02
現在、東海再処理施設内で建設計画を進めている低放射性廃棄物処理技術開発施設(以下LWTF)の液処理系プロセスでは、低放射性廃液中の塩(NaNO3等)と放射性核種を分離し、それぞれ「硝酸塩蒸発固化体」、「スラリー蒸発固化体」として保管・貯蔵される。このプロセスにより、従来の「アスファルト固化法」に比べ、大きな減容比を得ることができる。本報では、このLWTF液処理系プロセスと同様の処理を工学規模の装置を用いて行い、過去の基礎試験結果から得られたLWTF運転上の設定値との比較を行った。その結果、LWTF液処理系プロセスにおける「ヨウ素不溶化・プレフィルタろ過工程」、「限外ろ過(I)工程」、「前処理工程」、「共沈・限外ろ過(II)工程」、「共沈・限外ろ過(III)工程」のそれぞれの工程において、LWTF運転上の設定値が妥当であることを確認した。
久保 真治; 秋野 詔夫
Transactions of the American Nuclear Society, 81, p.352 - 353, 1999/11
原子炉やエネルギー機器の熱を非電力用途に利用するためには、高効率の熱輸送と熱貯蔵技術が必要である。このような熱輸送に応用可能な熱媒体を試作した。これは、大きな融解凝固潜熱を有する相変化物質(PCM)をマイクロカプセル化(MCPCM)し、さらに低粘性の搬送流体中に分散しスラリー状にすることによって、常時流動性を維持させ、かつ、大きな熱量を保持させるようにした熱媒体である。純水にMCPCMを添加することによる効果を調べるため、この熱媒体を容器内に注入し、水平円柱を用いて加熱する自然対流熱伝達実験を行った。その結果、円柱の熱伝達率は、相変化が生じる温度レベル条件では、数十%程度増加するが、相変化が生じない条件ではわずかに減少することを見いだした。この熱伝達率の増加率は、MCPCM濃度を上げるに従って増加し、また、境膜温度差を小さくするに従って増加した。
日比谷 啓介*; 戸井田 克*; 塩釜 幸弘*; 山本 拓治*; 升元 一彦*; 古市 光昭*
PNC TJ1100 96-002, 85 Pages, 1996/03
グラウトは、岩盤中の透水性を改良する技術であり、特に、地下深部に掘削された空洞周辺やプラグ構築部周辺に発生するゆるみ域への適用が考えられる。今回、釜石鉱山においてベントナイトを注入材料としたグラウト試験を行い、地下深部岩盤への適用性を評価した。 具体的には、注入孔(長さ5m)から濃度0.28.0wt%のベントナイトスラリーをP=1.01.5(MPa)で注入し、周辺の観測孔(長さ7m)2孔でモニタリングを行った。注入前後に注入孔での透水試験および観測孔間のトモグラフィー(電磁波・比抵抗)試験の結果を対比することによって注入効果を評価した。主な試験結果を以下に示す。1)ベントナイトスラリーの注入により、注入孔周辺の透水係数は10/SUP-6/10/SUP-7/cm/secから10/SUP-8/10/SUP-9/cm/secに改良された。2)スラリー濃度が大きくなる程ベントナイトスラリーの注入量や注入速度は減少し、スラリー濃度が8.0wt%では、ほとんど注入できない状態になった。3)電磁波トモグラフィーおよび比抵抗トモグラフィーによって、ベントナイトスラリーの注入範囲を推定できた。
日比谷 啓介*; 戸井田 克*; 塩釜 幸弘*; 山本 拓治*; 升元 一彦*; 古市 光昭*
PNC TJ1100 96-001, 290 Pages, 1996/03
グラウトは、岩盤中の透水性を改良する技術であり、特に、地下深部に掘削された空洞周辺やプラグ構築部周辺に発生するゆるみ域への適用が考えられる。今回、釜石鉱山においてベントナイトを注入材料としたグラウト試験を行い、地下深部岩盤への適用性を評価した。 具体的には、注入孔(長さ5m)から濃度0.28.0wt%のベントナイトスラリーをP=1.01.5(MPa)で注入し、周辺の観測孔(長さ7m)2孔でモニタリングを行った。注入前後に注入孔での透水試験および観測孔間のトモグラフィー(電磁波、比抵抗)試験の結果を対比することによって注入効果を評価した。主な試験結果を以下に示す。1)ベントナイトスラリーの注入により、注入孔周辺の透水係数は10/SUP-6/10/SUP-7/cm/secから10/SUP-8/10/SUP-9/cm/secに改良された。2)スラリー濃度が大きくなる程ベントナイトスラリーの注入量や注入速度は減少し、スラリー濃度が8.0wt%では、ほとんど注入できない状態になった。3)電磁波トモグラフィーおよび比抵抗トモグラフィーによって、ベントナイトスラリーの注入範囲を推定できた。
渡辺 龍三*; 川崎 亮*
PNC TJ9601 94-003, 87 Pages, 1994/03
ORR-SHEBY-DORN法を改良してクリープ破断データを解析する手法を提案した。この方法を用いて改良SUS316鋼(55MKと55MS) のクリープ破断データを解析した結果、この破断テータは温度・応力依存性の異なるいくつかの領域に区分する必要があることが明らかになった。また、この材料で得られているクリープ曲線の解析から、クリープ変形および破断挙動の異なる3つの領域が存在することが確認された。改良SUS316鋼のクリープ曲線データを改良法で解析し、長時間クリープ曲線と破断寿命を予測するための構成式が得られた。この式を使うことにより、改良SUS316鋼の複雑な破断特性を合理的に理解することができた。
秋野 詔夫; 高瀬 和之; 久保 真治; 長島 昭*; 鷺谷 昭二郎*; 中西 真行*
第31回日本伝熱シンポジウム講演論文集, 0, p.589 - 591, 1994/00
相変化物質(PCM)の大きな潜熱を熱輸送に利用することをねらいとして、PCMをマイクロカプセル(MC)化技術によって独立・安定な微粒子とし、低蒸気圧・低粘性の液体中に分散させ、高熱輸送密度・低運動圧力・低消費動力を特徴とするスラリー状熱媒体の開発を進めている。開発課題は、耐熱性・耐久性に富むMC化粒子と長期安定なスラリーの開発、熱物性データの整備、伝熱・流動特性の解明、利用技術の確立等である。本報告は、試作したMC化粒子及びスラリーの融点・凝固点と粒子径、PCMとMC物質組合わせの関係を、示差走査熱量計を用いて測定した結果を述べるものである。成果は、融点は一定値であったが、凝固点は粒径・乾燥/湿潤状態・PCM物質・MC物質等の影響を受け、過冷却現象を生じることを見い出した。さらに、物質の組合わせによって、過冷却を回避できる可能性があることを示した。
沼田 浩二; 高橋 芳晴; 根本 剛; 都所 昭雄; 根本 康弘*; 根本 正行*; 塙 英治*
PNC TN8410 93-100, 46 Pages, 1993/04
本廃液処理設備においてプルトニウム燃料各施設から発生した各種廃液をほぼ計画通り処理することができた。その主な内容は次の通りである。(1)本年度の工程中和廃液受入量は1196l、分析廃液は184lであり、合計1130lである。なお、前年度繰越分を含めるとそれぞれ1445l、232lの合計1677lが処理対象液である。(2)その内、今年度はの工程中和廃液及び分析廃液の処理量は、それぞれ1094l、172lであった。(3)処理後の・放射能濃度は何れも放出基準値である5.610-2Bq/ml以下であった。(4)設備診断を行った結果、早急に交換や改造を必要とする装置がないが、経年劣化も進んでいるので、交換可能な装置は計画的に交換する必要がある。
川崎 亮*; 渡辺 龍三*
PNC TJ9601 93-004, 68 Pages, 1993/03
高速増殖炉において用いられている燃料被覆管は、その環境の苛酷さよりさまざまな条件が課せられるため、現在用いられているSUS316材では比較的短期間の稼動で交換しなければならない。そこで本研究では長寿命の燃料被覆管を作製するために、スラリーディップ法を用いた傾斜機能材料の考え方を導入して、より耐食性、耐熱性に優れた材料を作ることを目的としている。基板は、SUS304粉末を金型およびCIP成形した円柱状の圧粉体とした。金属粉末をエタノール中に分散させたスラリー内に基板を浸漬し、引上げ、乾燥させ、CIP成形した後、HIP焼結した。傾斜材は組成の異なるスラリーに、同様の手順で順次浸して積層した後、HIP焼結した。焼結体については組織観察、SEM-EDX解析、EPMA解析、熱応力解析などを行い、さらに熱的安定性評価も試みた。Mo粉末の粒径および体積濃度を変化させてスラリーを調整し、均一なスラリー塗布層を形成するための条件を最適化した。Moが1層のみの時に比べ、傾斜組成制御した方が接合状態も良くそれは有限要素法による熱応力解析結果からも明らかである。SEM-EDX、EPMA解析から組成の傾斜および酸化物などの存在が確認された。熱的安定性については実験前後で大きな変化は見られなかった。以上の結果から、円筒状傾斜組成制御層の形成にスラリーディップ法が有効であるとわかった。
松村 昌明*; 近藤 康雄; 山口 五十夫; 久保田 益充
JAERI-M 93-010, 38 Pages, 1993/02
群分離プロセス評価予備試験装置を用いて、模擬廃液の還流および脱硝により生成するスラリーの工学的規模でのろ過試験を実施した。ろ過試験は2種類の模擬廃液を用いて実施した。沈殿を含まない模擬廃液を用いた試験では、脱硝前に5.710[J/L]以上の熱を与えて還流をおこなうことにより、易ろ過性のスラリーを得ることができ、実験室規模での実験結果が再現された。一方、室温放置により生成した沈殿を含む模擬廃液を用いた実験では、沈殿を含まない模擬廃液と同様の条件により還流・脱硝をおこなってもスラリーは難ろ過性となり、助材ろ過をおこなう必要があった。これは電温放置により生成した粒径が0.5m前後の微小粒子がスラリー中に多く含まれていたことに因るものであった。
松村 昌明*; 近藤 康雄; 久保田 益充
JAERI-M 93-009, 21 Pages, 1993/02
模擬高レベル廃液の脱硝により生成するスラリーのろ過特性を実験的に調べた。スラリーのろ過特性はスラリー中の固体の粒度分布に大きく影響された。スラリー中に粒径0.1m程度の微細粒子が含まれていると定圧ろ過によるスラリーからの固体分離は難しかった。一方、スラリー中に微細粒子が含まれていない場合にはスラリーのろ過はスムーズに行われた。粒径0.1m程度の微細粒子の大部分は模擬廃液の脱硝時に生成し、これらの微細粒子の生成は、(1)脱硝前に5.710(J/L)以上の熱を加えて還流を行うか、(2)脱硫時に1.110(J/L)以上の熱を加えることにより効果的に抑制できた。また、(1)の効果は還流時の液量には存在しなかった。
三田村 久吉; 村上 隆; 馬場 恒孝; 雨夜 隆之*
Nuclear Technology, 73, p.384 - 388, 1986/00
被引用回数:6 パーセンタイル:59.04(Nuclear Science & Technology)ホット装置開発の前段階として、シンロックスラリーの乾燥及び仮焼を連続的に行なえる回分式小型装置を開発した。この装置を使って、シンロックを作製し、出来た試料についてX線回折と浸出試験を行った。結果は、本装置によって良質の試料が作製でき、しかも乾燥及び仮焼の工程が簡略化されることを示していた。これによって、本装置は、ホットセル用装置として十分に適用可能であることが示された。
大道 英樹; 荒木 邦夫
Journal of Polymer Science; Polymer Chemistry Edition, 16(1), p.179 - 187, 1978/01
第4開発室で研究を進めていたポリエチレンのスラリー照射に関して、その特徴を明らかにするために基礎的実験を行なった。酸によって幹ポリマーを分解し枝を分離することが可能なポリイソブチレンオキサイドをメタノール中で照射し、スチレンをグラフトした。ESRスペクトルの測定により、空気共存下のメタノール中で照射したポリイソブチレンオキサイドからは、真空中照射によって生じるアルキルラジカルと同一のものが生じることを見出した。反応前および反応中のラジカル量をESRスペクトルから求めたところ、ラジカル量は照射中のメタノールの存否によらないことがわかった。一方グラフト率および主鎖を分解して得たグラフト鎖の分子量は照射中にメタノールが存在すると大きく低下した。この現象を理解するため反応の速度論的解析を行なったところ、照射中のメタノールの存在は開始反応に使われるラジカル量および生長反応の速度定数には影響を及ぼさず、連鎖移動および停止反応の速度反応の速度定数を大きくすることがわかった。
富永 洋; J.Galleguillos V*
Int.J.Appl.Radiat.Isot., 29(9-10), p.537 - 541, 1978/00
スラリー密度変化に対して、補正を必要としない、蛍光X線法オンストリーム分析を提案した。スラリー密度の変化にさいして、栄光X線と散乱X線の強度増減が相反する性質を有することに着目し、フィルター厚さ及びパルスハイトウインドウをあらかじめ調節して、蛍光X線チャンネルが、散乱線に比例したバックグラウンドをもつようにセットしておく。スラリー密度が増加したとき、正味の蛍光X線計数の増大は、バックグラウンドの減少により自己補償される。実験室及び工場現場(チリ銅山)における実験結果、ならびに理論的解析について述べた。
大道 英樹; 荒木 邦夫
Journal of Polymer Science; Polymer Chemistry Edition, 14(11), p.2773 - 2783, 1976/11
第四開発室で行なっているスラリー状態での放射線グラフト重合に関連して、溶媒中でのグラフト重合の速度論的考察を行なった。ポリマーとしてはグラフト鎖を単離することができるポリイソブチレンオキサイドを選び、電子線で前照射してスチレンをグラフトした。グラフト率,グラフト鎖の分子量共、スチレン単独で一番大きく、次いでスチレン・メタノール系、スチレン・ベンゼン系であった。この順序はポリマー中のスチレン量だけでは説明できなかったので、速度論的考察により各素反応の速度定数を求め、三つの系についてそれらを比較した。その結果、開始速度,成長速度定数には溶媒による差が顕著でなかったのに対し、グラフト率,グラフト鎖分子量がともに小さくなるスチレン・ベンゼン系では停止反応速度定数が他の系に比べて極端に小さくなっていることがわかった。またスチレンの単独重合と比較するとkp/ktの値が10~10倍になっており、グラフト重合では生長鎖の動きが抑えられていた。
須郷 高信; 武久 正昭; 町 末男
JAERI-M 5451, 9 Pages, 1973/11
濡壁式エチレン重合開発試験装置による放射線重合ポリエチレンの製造においてスラリーからの水と第3ブチルアルコールの除去方法が、ポリエチレンの形態および比表面積に与える影響について検討した。比表面積の大きい粉末状ポリエチレンを得るために最も重要な条件は、(1)ポリエチレンに含有されている第3ブタノールを水で置換除去してから乾燥すること、(2)脱ブタノールおよび乾燥工程を出来るだけ低温で行うことである事が明らかになった。検討した具体的方法は、(1)スラリーを85~98Cで加熱蒸留して第3ブタノールを除去した後、ポリエチレンを濾別して乾燥する。(2)スラリーを水で50倍に希釈した後、高速撹拌下で第3ブタノールを抽出し、濾別して乾燥する。(1)の方法で得られるポリエチレンの比表面積は、40~70m/g、(2)の方法の場合は60~100m/gであり、いずれも市販のポリエチレン粉末の比表面積に比べて著しく大きい値であった。
福田 裕平; 菅沼 隆; 比内 浩; 池田 昭*; 小畑 政道*; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
福島第一原子力発電所では、汚染水中の放射性核種の除去を目的として多核種除去設備が運転されている。多核種除去設備の前処理設備からは、高線量の鉄共沈スラリーおよび炭酸塩スラリー廃棄物が発生する。これらのスラリー廃棄物は、長期保管においての漏えいなどのリスク低減のため、固液分離し、水分除去を行うことが望ましい。固液分離技術の一つとしてろ過法があり、その適用性を検討する上でスラリー廃棄物の粒子径データの取得が必須である。今回、スラリー廃棄物の粒度分布測定法として、マイクロスコープによる非接触測定を活かし、測定機器(マイクロスコープ)の汚染要因を排除した、画像解析法による粒度分布測定法を構築し、多核種除去設備から採取した実際の炭酸塩スラリーの粒度分布および平均粒子径のデータを取得した。その結果、平均粒子径(個数基準)は3.62m、メジアン径(個数基準)は2.36m、検出された最大粒子径は23.2mであった。この結果は、今後、スラリー廃棄物の固液分離技術を設計検討する上での指標となると考えられる。
比内 浩; 篠田 芳晴; 黒沢 明; 池田 昭*; 小畑 政道*; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
福島第一原子力発電所において、放射性汚染水中の放射性核種の除去を目的として多核種除去設備が運転されている。発生する廃棄物については、処理処分方法を検討するため、その中に含まれる放射性核種の種類と放射能濃度を詳細に把握することが必要となる。前処理設備から発生するスラリーについて、放射化学分析により性状を調べた。その結果、Srでは鉄共沈スラリーで1.210Bq/ml、炭酸塩沈殿スラリーで1.410Bq/mlの濃度を検出した。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司; 中川 明憲; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
no journal, ,
福島第一原子力発電所における汚染水処理に伴い、多核種除去設備(以下、ALPS)から発生する凝集沈殿スラリーは線放出核種を含む多量の放射性核種を含有しており、処分のため作製する固化体への放射線影響が懸念されている。したがって、処分時の安全性の観点から、固化体中の水の放射線分解による水素ガスの発生を評価しておくことが重要である。本件では、凝集沈殿スラリー(鉄共沈スラリー及び炭酸塩スラリー)の模擬物を対象に、無機固型化材(普通ポルトランドセメント(OPC), 高炉スラグセメント(BB)及びジオポリマー(GP))を用いて固化試料を作製し、線を模擬した電子線照射を行い、水素ガスの発生量を調査した。結果、鉄共沈スラリー固化試料では炭酸塩スラリー固化試料と比較して水素の発生量が少なく、廃棄物に含まれる構成成分が電子線照射時の水素ガス発生量に影響を与えていることが示唆された。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司; 中川 明憲; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
no journal, ,
福島第一原子力発電所における多核種除去設備(以下、ALPS)から発生している凝集沈殿スラリーや吸着材は、多量の放射性核種を含有しており、処分のために発生した固化体への放射線影響が懸念されている。本件では、凝集沈殿スラリー(鉄共沈スラリー及び炭酸塩スラリー)とチタン系吸着材(酸化チタン及びチタン酸ナトリウム)の模擬物を対象に、無機固型化材(普通ポルトランドセメント(OPC), 高炉スラグセメント(BB)及びジオポリマー(GP))を用いて固化試料を作製し、線の照射試験を行い、水素ガス発生のG値及び固化試料の含水率を調査した。結果、模擬スラリー固化試料はチタン系吸着材固化試料と比較して、水素ガス発生のG値と固化試料の含水率がいずれも大きくなった。また、模擬スラリー固化試料では、固型化材の違いによるG値への影響も観察された。このことから、廃棄物や固型化材に含まれる構成成分が水素ガスの発生に寄与していることが推察された。